その蓋を いかに開けるか 蜃気楼

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いいの、ってひと言呟いて、
いつもどこか距離を取っている。
最後の瞬間が近いというのに、
寂しがることも、惜しがることもない。
冷たい人。
ずっとそう思ってた。

だけど、最後の瞬間がくるずっと前だというのに、
その手が震えているのを見て、気が付いた。
本当はずっと恐れていたんだ。
そのショックに耐えられるのかどうか、分からなくて。
だから、その瞬間より前に予行練習をして、
ショックに自分を慣れさせようとしていたんだね。

そうか、あなたは心の柔らかい人だったのね。
送別会なんて開いて、
最後の最後って感じだもの。
先回りして心を整えてるって、
情の深い人。
それとも恐がり?