いつごろからだったか。
この季節が特別になったのは。
心が騒ぐ飾りを、
見るようになったのは。
あの頃、私は屋敷の召使いの仮装をして、
来たる子供たちに、
左手に抱えた籠から、
それらしくかしこまって、
お菓子をあげていた。
折しも満月夜の年があって、
その時に祈ったことを、
いまだに覚えている。
叶わない願いだった。
だからこそ、真剣に祈った。
その頃からだったのだろうか。
この季節が特別になったのは。
そこここに飾られる人ではないものを見て、
あの人を思い浮かべる。