幻も 澄み渡りたり 若緑

あの日のことを話した祖母は、
透き通った肌の少女だった。
きっとこの国に何万もあったであろう
おさげの髪と、褐色の制服の人たちの
当人にとっては唯一の人生の瞬間。
交わしたものは、きっと言葉よりも強い気持ちで、
だからこそ祖母はまるで景色まで思い浮かべられるほど
色あざやかに語ったのだろう。

けれども、その結末はとても尋ねられなかった。
あの日の、その次の日があったのか、
今恋をしている私には、とても聞けない。