青嵐 まだ見ぬ夢を 吹き散らし

制服姿の男の子が、
何やら必死で駅へと走っていった。
その後ろ姿に、私はふと微笑んでしまう。

学校と塾と家を往復していたあの頃、
毎日夢ばかり見ていた。
だけど、それがどんなものだったのか。
いくつかは思い出せるし、
いくつかは永遠に思い出さない。
ただ、どちらにしても。

私は彼の姿が見えなくなってから、
そっと鞄からケイタイをとりだした。
その待ち受け画面には、
ホンモノも写真も変わらぬ笑顔。

あの頃の夢をすべてを超えるものを、
私は今手にしている。