お願い。
私のことを見て。
この世に、私という人間がいると知って。
そのことだけを心に、あなたを見つめている。
手は届きそうなのに、
決して近づけないステージの上、
息なんかしなくてもいいから、
あなたを見つめていたい。
目が合った。
心のどこかでは、まさかそんなことはないと思っているのに、
大半では信じている。
私に気付いたでしょう、と思っている。
ねえ、そんなに大そうなことは望んでないのよ。
ただ、私を知ってほしい。
私という命が、
あなたを思っているということを知ってほしい。
もし、それが叶うなら、
それは人生最上の喜びに違いない。
全てが満たされて、
自分自身の命すら慈しめる。
だって、あなたの知っている私。
そのことを考えただけでも、
胸が泡立つくらいなのに。
こういう気持ちは、
人を好きになるということの、
原型にあたるのではないかと、
あなたのことを見つめ続けながら、
ひたひたと、思う。