この恋は 冬のつぼみに 託したり

冷たい青の空と、
殻を纏ったような固い幹や枝。
まだ形にもならないつぼみたち。
白い息を吐きかけても足りない、
氷みたいな指の先。

待てば必ず春が来る。
空気も緩むし、身も軽くなる。
そう自分に言い聞かせながら、
霜を踏んで歩いた。
足元の音が、耳を通って冬をあおる。

大丈夫だよね。
もうずっと待っている。
春になれば、あなたに会える。
後ろ向きで手を振ったのは、
秋の深まるころだった。
今度は春の始まるころ、
笑顔とともに、駆け寄ってきてくれる。
その姿は、脳裏では何度も繰り返されてるけれど、
本当の花が咲く日が近づいていると、
凍てつく景色の中から、
春の気配を引きだしては思い描いている。